2015年 3月 校長便り

10年以上毎月書いてきたこのコラムの中で多かったテーマは、行事の報告を除けば、まず、皆さんへの激励、称賛、そして人との関わり合い、具体的にはお友達とどういう風に接していけばよいのか、であったかと、今思い返しています。

補習校生徒の皆さんは、素晴らしいバイリンガル。 中には3か国語以上身に着けている生徒もいると聞いています。 そこで皆さんにちょっと考えて欲しいのは、人間にはなぜ言葉(話す、書く、読む) があるのか、または、言葉をどう使うことが、私たちにとって必要であり、利益になるのか、ということです。  

人間はお互いの意思疎通を図るときには、主に、言葉を使います。 もちろん言葉以外でも、「目は口程に物を言う」 という言われ方もしますし、表情や態度でも、言葉はなくとも、ため息だけでも、相手の反応や感情は推し測られます。 が、今回のお話は、話す、聞く、書く、読む中心の「言葉」で進めていきます。 

言葉を使う時に、ふたグループに分けるとすると、話す側と書く側は、一方のグループ。 聞く側と読む側が、他方のグループに分かれると思います。 話す・書く側の言いたいことと、聞く・読む側の受け取り方は、いつも同じとは言えません。 それだからこそ、日常ではお互いにやり取りが必要にもなってくるのですが。 

お勉強の上では、作文を例に考えてみましょう。 作文を書きます。 書きたいことは、自分ではわかっています。 ですから自分の頭の中では、誰が言ったりやったりした事なのか既に知っているので、主語が抜けることが起こりがちです。 また書きたいことが多いと、次々起こった出来事を、「誰が」に関係なくつなげていく、長い文になってしまう事もあります。

ですから、作文や、先生が読むための日記は、読む人にわかるように書くことが、良い書き方となります。 国語の勉強で1年生の時から指導される、「いつ・どこで・だれが・何をしたか」 これが文を書く基本です。 起こったことに対して、自分がどう思ったか、そこでどういう会話がされたか、を書き足していくと、読む側も、興味を持てて、おもしろく読んでいけます。 読む側になったつもりで、推敲することが大切です。

この推敲のテクニックを応用して、テストの後、先生になったつもりで見直すと、ケアレスミスに気付くという良いことにもつながります。

目的や文の長さ、相手によっても違いますが、毎月のこのコラムを書いている私は、書いた後、多分十回以上は、読み直して、直して、直した後また読み直してを、毎月しています。 コンピューターを、ワープロ代わりに使っているのですが、鉛筆で書いたり消しゴムで消したりしなくていいので、本当に便利になって、助かります。 まだ鉛筆で書いている皆さんにはちょっとズルしているようですみませんが。 私は、これまで何十年も、鉛筆と消しゴムで奮闘してきましたから、そこは大目に見ていただくとして。

言葉とは、褒めたり、励ましたり、楽しかったこと、面白かったことを報告できる、聞く側、読む側が、いい気分になれる使い方ができる、人間にとってはなくてはならないものです。 でも、ケンカをするのにも言葉を使いますね。 人を傷つけるのに、ゲンコツやキックで痛い目に合わせるのでなく、言葉でも傷つけることができるのは、皆さんも知っているでしょう。

お友達と意見が合わない時、腹が立ったり、悔しかったりで人が傷つくかもしれない言葉を使った時は、その時は気持ちがいいでしょうか。 腹立ち紛れで使った言葉を、相手は理解してくれますか。 意見の違いが、強い言葉、相手を傷つける言葉で解決できると思いますか。 自分が聞く側、読む側になった時、その言葉を自分に使われたらどうでしょう。  

意見の合わない時、相手をやっつけるために使った言葉は、自分に返ってきたら、自分ではきっと傷つくし、我慢できないでしょうね。 それならそういう言葉は使うべきではありません。 言葉も含め、身の回りには、使い様によって、危険な物がたくさんあります。 

教養のある人は、その使い方をよく考え、お互いの気持ちの良い方向に役立てられます。 (これも今まで何回か書いてきましたが、教育と、教養は違います。 今回はこの件が話題ではないので省きますが。) 「原子力の」 といえば、「平和利用」 という言葉が、すぐ続くくらい、両極端の「人間の発明」もあるくらいですから。

さて、卒業生の皆さん、長い人は、六年間、九年間、補習校で日本の言葉を学んできました。 日常では英語を話す世界の中で、自ら選んで日本語も何年も勉強してきました。 英語でも日本語でも、これから利用するのは、あなた自身です。 将来の仕事に役立てるも良し、日本の親せきや友人たちと交流を持つときに使うのも良し、更なる学習・研究に励むのも良し、是非、平和に通ずる利用法で、使い続けていってください。

ご卒業おめでとうございます。 今後のご活躍を、補習校教師一同、期待しております。